blue wind

  • 2012.04.30 Monday
  • 02:16
「1000年女王」を見る、 
驚愕の支離滅裂なストーリーに唖然、好きだけど。
それにしても松本零士の描くコックピットはなんてセクシーなんだ。

あっけない幕切れがやってきた。
それから程なくして、S子さんは転校してしまったのだ。実家の都合と聞いた。
今でもこの話を思い出すたびに、
王国の崩壊に伴って空洞化された私の心の地底湖から、
叶わぬ夢の顛末と、それまでの懸念が現実のものとなったショックが原料の、
とてつもなく酸っぱいジュースがこみ上げてくる。
それもたったいま搾ったかのように、ありありと。
転校の前日、一日中ずっと、
私は彼女と何も話すことが出来なかった。
本当に話す言葉を失ったろうあ者のようだった。
彼女も何も話さなかった。
ただその無言の時間は、
彼女に関する噂や、私に巣食っていた、
何かを失ってしまうことに対する恐怖と不安を吹き払う蒼い風となって、
幾分さわやかに、私の中で、吹き抜けたことは間違いなく、
それは二人の間に架かっていた、それまで霧に包まれていたかのような、
虹色までとは言わないが、
そんな細い一本の橋のようなものの存在をあらわにしてくれたのだ、ようやく。
そして彼女が去った後、
私は自分の何かが少しだけ前に進んだと感じた。
それから、これでよいのだ、と思った。


rumors

  • 2012.04.29 Sunday
  • 11:46
S子さんには付き合っている先輩がいる、

それは友人達から聞かされた彼女に関する
もっぱらの噂であったが、
隣りの席で顔を会わせている限りにおいて、
そんなようなドキドキする質問は、
一度たりとも、もちろん出来なかったし、
夏にはカエルの声しか聞こえない、
秋には稲穂の真黄色で辺りの景色は充満、
冬は氷の道路とあまりの寒さで監禁状態、
近所のスーパー横の小さなインベーダーのゲーム機2台が唯一の反抗の象徴の場所、
という、超ど田舎の中学校生活においては、
都会のそれよりも、男子女子の関係は、
青春真っ盛りをむえようとしている年頃ならば、
むろん誰しもが気になることとはいえ、
話題にすることは憚られていたが、
それにしても彼女はそんな、汚れた、存在にはとても見えないくらい、
闊達とした存在で、
それは単に彼女の実家が盛岡からバスでは行けないくらい遠い村にあって、
そういう事情で、近くに住む祖母の家から通って来るという、
つまり厳しい親の監視下に置かれていない、
つまらない噂が湧き出てきそうな、
遠因にもならないような環境が生み出した、
まさに単なるrumorsであったに違いない筈だが、
そんな噂があろうと、なかろうと、
私にとって目下の案件は、
いつしか、お互いか、あるいは私だけなのか、
授業の間だけは、列の一番後ろの自分の席に座っている限り、
私、いやはっきり言ってしまおう、私達の世界、は、
いかなるパスポートを持ってしても何人も入国することのできない
安泰な、完璧な王と王妃の治める夢の独立国家でありながら、
この状態がずっと続いていくことに
希望を持つ権利を、果たして己は有しているのかという、
焦りを伴った使命感にも似た感情が、
日に日に募って行くことを押さえられない。
なんとも大げさだが、
事実その一点にあった訳だ。


Kraftwerkの「Radioactivity」









america

  • 2012.04.28 Saturday
  • 12:00
今日は故郷の盛岡でも気温が20度を越えるようだ。

イエスの「Yesterdays」、
サイモン&ガーファンクルの名曲「America」におけるファンキィなアレンジは、
いとも簡単にアメリカを飛び去り、大気圏さえ離脱して
今は、あるいは松本零士的センチメンタルな宇宙空間の周回軌道上を旋回している。
これは過去か未来か、もはや時間軸不明、
編集盤とはいえ秀逸の一作。

このアルバムが1974年ということは、
その翌年か、そのまた次の年か、
私が中学の何年生だったか、の新学期。
席は向かって右から2列目の一番後ろで、
その時右隣になったのが、
S子さんだった。
彼女は運動神経が抜群で、いつも上品な才気を漂わせている、
今思うに、なかなかの美少女であったが、
不良的グループの中心に存在する立場上からか、
鋭い眼光と、制服から発せられる微かだが、
確かな主張を伴った煙草の匂いに、
兄弟のいない雄の子ウサギ(もちろん私)は、しばらくの間は、顔も見れずに、
いつもただ圧倒されて小さくなっているばかりであったが、
不良と不良的、におけるコンセプトの違いからか、
生活の中における、遅刻あるいは欠席などの行為は彼女の主義には反するらしく、
さらに慣れというものは恐いもので、
毎日なんとなく席を隣にするうちに、交遊関係やら、
くだらない、例えば、前夜のテレビ番組や、お互いの家庭の話などもするようになり、
それまでの私は日々、
部活の厳しさなどの問題も、
中学生日記さながらに抱えていたから、
あるいは成績のこともあり、登校拒否など一度も考えなかったといえば嘘になり、
充実などとはほど遠い中学生活であったが、
それが全ての理由というわけではないにしても、とにかく私は、
中学校に行くのが楽しい、とだんだん思うようになっていった。。

「Dear Father」、
この辺りのポップなメロディは明らかに初期クイーンのそれ。
イエスからの影響をは明らかだ
もしこれを私が何年も後でなく、この時リアルタイムで聴いていたならば、
おそらく私はロックに手を染めることはなく、
立ちすくむしか無い、ただの傍観者なっていたに違いない。
このクオリティの衝撃って、
そのくらい凄い。







white clear soup

  • 2012.04.27 Friday
  • 13:36
冷たい春雨のおかげでハナミズキが異様に反射していて、
ストラヴィンスキィに、
ハーダーゼイカムの前半、
銀行への道順、
地図の折り目、
筆ペン、
何やら食べ物の匂い、
白湯、
父の記憶、

てんでバラバラなものでも、
所有って小さな概念でなく、
そうか全部自分から出てたのか。
気がついたら虹色の永遠に袖を通していた。




last night

  • 2012.04.26 Thursday
  • 11:44
BGMはまたショパンのピアノコンチェルト、
早朝に起床、
河川からは
いつもと同じよどみのない緩やかな流れの気配と、
遠く流れ着いた雪解け水の残像か、
時に冷やかな空気が頬をかすめる。
この不健康音楽家にとっては、
この時間に起きること自体まだまだ未知の世界、
理由は後々書かねばなるまいが、
より健全に音楽と関わっていく為の選択、関わり
とだけ記しておこう。
無論そんなたいそうなことではないが、
太陽の鮮度は高い方がよいに決まっている。
まずはこの時間が生活の起点となるべし。

音楽に求めるものは、
安心、喜び、豊かさ、
いいやそれは
刺激。
深い芳醇な香りと色彩にカムフラージュされたそれ。
誠実なるイメージのそれ。
昨夜だって始まりはビートで終わりは余韻。
音楽の成長促進剤が信頼だから、
音符の裏側に潜む秘密を共有できたのだ。








tatsuya

  • 2012.04.25 Wednesday
  • 11:23
中村達也。 
ひたすら前進するその高ぶる精神の塊が通った轍に、
残されるのは飽くなきビートへの渇望と、
果てし無く続く遠吠えだけで、
その後からはまるで草木も生えてこないような、
そんな重厚さを、
手のひらで転がすなどとはおこがましいにも程があるが、
そのくらいの覚悟を決めて臨まなければ、
すぐさま容易に起きるであろう予測のつかない程の化学反応には、
我々の耐熱強化ガラスも持ち堪えられそうにない。
さらに奥へと突き進んで行くには、
それ以上の耐性が必要なのだ。


cyciamen

  • 2012.04.24 Tuesday
  • 19:03
頂き物のシクラメン、
季節外れでも、
その葉は、せっけんの泡のように鉢の真ん中からもりもり湧き出る。
それはまるで、朝礼の時にすっくと整列する新入生のごとき薄ピンクの花々に、
休めを命じる先生のように、
少しの緊張と、これからの過ごし方を教え諭すような、
揺るやかな主張にも似た態度で、薄ピンクを外側に押しやって、
それから、やっと季節のページをめくるよ、といったような
彼ら独自のシグナルを、
段々に広がる葉に次々と伝播させているに違いない
何ヶ月も前に咲き落ちてしまった沢山の大きな花は、
以前住んでいた川向こうの寒かった家で咲いていたそれで、
今はその名残が何本か残っているほかに
新たな蕾が、ひかえめな春先の海岸に集うサーファーのように点々と、
波紋のような丸い葉っぱの波間に見え隠れして、
風に揺れながら自分の順番を待っている。
教えてほしいなシクラメンくん、
もし君に目論みがあるとするならば、それが何かを。




james

  • 2012.04.23 Monday
  • 10:53
しとしと雨、寒。

ワールドピースというサミーデイビスJrの顔をさらに厳つくしたような、
顔と名前がやや不釣り合いのレイカーズの選手が、
世界一美しい髭(勝手に思っている)を持つサンダーのハーデンという選手に、
肘鉄を喰らわせ退場になったようだが、
ワールドピースなどとたいそうな名前にしたのなら(以前に改名している)、
勝負の世界とはいえボールのない所での暴力行為はいかがなものか。
ブルズ3ピート以来のファンとしては、
現在NBA最高の選手とうたわれる
ヒートのレヴロンジェームスがチャピオンズリングを、
手にすることができるかどうかは、やはり気になるところだが、
如何せん彼はやさしさが態度に出て、
(結果的に)つけ込まれてしまうタイプの選手なので、
4Qの肝心な所では、同僚のウェイドに仕事を任せるのが、
最良の選択ではないかといつも思うのだが、
それでも自分の扉を開く為に、
彼は一番大事な場面、自分でシュートを打つのだろう。
その姿勢が人の心を打つのだ、
それにしても今日のコービーには凄みがあるな、ため息。

などと、
さてコーヒー飲んだらこちらも練習開始。
スポーツの精神性とステージの精神性には同じ高まりの共有があるのではないか。
こうみえていつも演奏前に足は小刻みに震えているのだから、
朝からTVでプロスポーツ見て緊張を強いるのは、
心のジョギングみたいなこと、
きっと何らかの効果があるかもしれない、
見終わって布団にさえ戻らなければ。







movie

  • 2012.04.22 Sunday
  • 10:55
ピットインまであと数日、
段取りに多少焦り気味。 

ブラジル映画の「エリートスクワッド(邦題)」という映画をBS録画で見る。
粗い映像と、強い原色、もはやコバイア語も真っ青なポル語の罵声、
まんずリオって怖いとこだんべ。
「タクシードライバー」と「マッドマックス」を足して「ウーリアーズ」で割って、
「レザボアドッグス」をまぶしたような、
スラム街の貧困、麻薬、腐敗した権力構造のお話は、
1970年代のNYが舞台のようなちょっと前のアメリカ映画のような後味。
お国が成熟したからだろうか、そんな題材は誰も見ないよ〜とばかりに、
最近のアメリカ映画はむしろヨーロッパの叙情的な流れが強い作品か、
あとはド派手な3Dのオンパレード。
辟易してたから逆に、新鮮に、楽しめたのかな、ギャングもの。
それにしてもまだまだ南米では混迷が続いているということか。
映画の記憶、
中1の時に、マークレスター主演の「王子と乞食」という映画を見に行ったのだが、
その同時上映だったレッドツェッペリンの「ザ ソング リメイン ザ セイム」
の方に感銘をうけてしまい、
それがギターを持つきっかけになるのだが、
それ以来、映画小僧に。
この出来事はプロフィールに書きたいぐらいの人生の転換点だが、
そういえばそこから遡ること数年、
母に連れて行かれた映画館の初体験は、
黒澤明の「デルスウザーラ」だった。
さっぱり理解出来なかったがこれだけは覚えている、ここが原初だったか。

とにかく何もかもが
暗かった。









selfish curry

  • 2012.04.21 Saturday
  • 12:00
店の名前は忘れた。
ちょうど今頃の季節か、
たまの日曜日に父親が連れて行ってくれた、
食堂に毛の生えたようなレストランが、
国鉄厨川駅(現銀河鉄道)の近くにあったのだが、
そこのちょっと黄色いカレーライスが好きで、
何しろ那須野家のカレーは生ピ−マンのトッピングてんこ盛りだったので、
むしろ緑色だった。(健康の為とはいえそんなもの小さい時に食べさせられてはたまらない)
だからよそでのカレーはささやかなごちそう、
ところがその日に限ってその店のカレーは終わってしまっていた。
(今から思うとレストランでそれもどうかと思う)
しかしその日、私は何故だかカレーが、カレーだけが、どうしても食べたくて、
「ガレーが、だ、だべでぇ〜」
泣くは叫ぶはアオッパナと東北弁全開で、
喉を枯らしてのたうち回ったものだから、
悲壮な決意が通じたのか、
さすがの厳しい父(普段は我が儘を許さない厳格さを持っていた)も、
たまらずスーパーにボ△カレーを買いに行き、
さらには湯煎して出してもらうという暴挙にまで出て、
(記憶では私はその間もずっと泣き叫んでいた)
結果的にことなきをえたわけだが、とにかく、
バツの悪そうな父の表情と
その時のシェフの苦笑いだけは今もくっきり鮮やかにまぶたの奥に蘇る。

私の「わがままとカレー」の壮絶人生はここから始まった。
大きめのスプーンの首から上に巻かれたちょっぴり豪華な紙ナフキンを解き、
淡い黄色のボ△カレーを口に運び入れたとたん、
小鳥がさえずり、天使が舞い、紙テープが降り注いで、
カレーの神様のもとに
歓喜の祝福に包まれたあの瞬間から

だが変態ベースとレトルトカレーの相関関係の話はまたの機会に譲るとしよう。
何故なら、
遠く鎌倉にて、
カレーを食べる時間が来てしまったのだから。








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